最高裁判所第一小法廷 昭和61年(行ツ)57号 判決 1989年1月19日
上告人
日本チバガイギー株式会社
右代表者代表取締役
ピー・ドウドラー
右訴訟代理人弁護士
成富安信
門間進
被上告人
中央労働委員会
右代表者会長
石川吉右衞門
右指定代理人
萩澤清彦
福田平
池田稔
斎藤正紀
中島芙美子
右参加人
総評合化化同総連・化学一般労連日本チバガイギー支部
右代表者執行委員会
和田悠二
右訴訟代理人弁護士
吉岡良治
津留崎直美
豊川義明
芝原明夫
右当事者間の東京高等裁判所昭和六〇年(行コ)第二八号、第三一号不当労働行為救済命令取消請求事件について、同裁判所が昭和六〇年一二月二四日言い渡した判決に対し、上告人から一部破棄を求める旨の上告の申立があった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人成富安信、同門間進の上告理由第一点ないし第三点について
所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひっきょう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。
同第四点、第五点について
所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。所論引用の判例は、右判断と抵触するものではない。所論は、違憲をいうが、その実質は単なる法令違背を主張するものにすぎず、原判決に法令違背のないことは、右に述べたとおりである。論旨は、採用することができない。
よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 佐藤哲郎 裁判官 角田禮次郎 裁判官 大内恒夫 裁判官 四ツ谷嚴 裁判官 大堀誠一)
上告理由
(斉藤部長の朝礼発言関係)
上告理由第一点
(一) 原判決が全面引用する第一審判決(以下、原判決という)は、参加人組合(以下、単に組合という)が上告人会社(以下、単に会社という)に対し昭和四九年四月四日午前九時頃公然化通知をしたが、その通知直前、藤木委員長が斉藤部長に対し「化学同盟を上部団体とする組合を結成した」旨の口頭報告したところ、「同部長は驚き、大変なところを選択した旨の応答をした」と認定している。然しながら右認定は、本件に現れた客観的事実と矛盾抵触する論理則・経験則違反の認定であるところ、原判決は右認定をもとに斉藤部長の不当労働行為意思を肯認して、同部長の朝礼発言を不当労働行為と判断する違法を犯すものであるから破棄されるべきである。
(二) 右公然化当日、会社が組合公然化を知ったのは斉藤部長からの通報によってでなく、午前九時頃組合からの正式通知によってであることは、原判決も認定するところである。即ち斉藤部長は、前記藤木委員長の口頭報告をうけて後も、右の通り会社のトップ及び所管部署等に右口頭報告のあった事を何らの連絡もしなかったばかりでなく、証拠によれば藤木委員長と会った後、そのまま部下との会議を継続し、会議が終った後は、直ちに社外の取引先を訪問するため外出してしまっている事が明白にされている。
若し斉藤部長が原判示「 」部分に認定のように、大変な上部団体を選択したという認識をもち、発言をしたのが事実であれば、生産部の部長という職責・地位に鑑れば、藤木委員長の報告を受けた後、即刻、会社内の然るべき部署に連絡通報する等の動きが存しなければならないのは、論理的・経験則上明らかなところであって、右原判示認定はこの点に明かな誤りを犯し、存在しない事実を認定することにより、不当労働行為の成立しないところにその成立を認めている。
上告理由第二点
(一) 原判決は斉藤部長が四月八日朝八時から行なった朝礼の中で、公然化した組合の問題に触れ、<1>「総評系の組合はよくない」、<2>「特にその中で化学同盟は赤軍派のはねっかえりのような連中がやっている」、<3>「非常に過激な組合だ」、<4>「だから組織人員も七万人から三、四万人に現在減ってきている」、<5>「組合のビラには非常によいことが書かれているけれども騙されてはいけない」、<6>「現在組合に入っている人でも勇気を持ってやめることも大切ですよ」等と述べたものと認定し、これら発言が労組法七条三号所定の支配介入の不当労働行為に該ると判断しているのである。然しながら右原判示<1>乃至<6>の如き発言が存したということは、本件に現れた客観的事実と矛盾抵触する、論理則・経験則違反の認定であり、そのような発言があったことを前提した不当労働行為の判断の違法も明かであるから破棄されるべきである。
(二) 右朝礼発言の認定に当り、原判決は藤木・斉藤両人の供述(証言、陳述書の類)のほか、右朝礼の翌日に組合が右朝礼記事を掲載して発行したビラ(乙第二四号証)を、唯一の物的証拠として引用している。而して右のビラによると当時組合は、右朝礼発言のうちで、原判決が(事実認定はしながらも)何ら不当労働行為に結びつくものとは認めていないところの、従業員会と会社間の賃上げ妥結結果が、別組合である参加人組合員には適用されない旨の発言のみを、大きく採上げて記載しており、組合では当時、この個所の発言が不当労働行為であると誤解していたことが明白に看取されるが、それ以外に原判決が<1>乃至<6>に認定したような発言は、殆ど右ビラには記載されていないのである。(僅かに<2>に類する発言があったような記載はビラ上に見られるものの、この部分は前記賃上げ妥結結果の問題と異り、正面からとり上げられず、対話調で軽く扱われている点に鑑れば、八日朝礼の斉藤発言が、到底、組合員を刺戟するような<1>乃至<6>のどぎつい発言ではなかったことを、推認するに充分である)。
若し斉藤部長に、前記判示<1>乃至<6>のような発言が本当にあったとすれば、最も接着する翌日の組合ビラに当該問題になる発言個所、内容が殆ど全く掲記されないなどということは、論理則・経験則上ありえないことであり、原判決が右ビラを採証しながら、前記判示の如き認定・判断をした誤は明白である。
(三) 原判決は右朝礼で、藤木委員長が、「斉藤部長が今おっしゃったことは不当労働行為ですよ」と発言したことをも認定するがよしんばその通りの発言が藤木にあったとしても、右ビラ(甲第二四号証)に徴すれば、その時、藤木が不当労働行為であると認識し発言した対象が、賃上げ妥結結果に関する斉藤発言にあったことは明白である。しかしこの発言は(原判決も認めるように)客観的には何ら不当労働行為にあたるものではないのであるから、右藤木発言の存在は、不当労働行為の裏付けとなるものでは全くない。ここでも原判決は不存在の事実を誤って認定したことにより、誤って不当労働行為の成立を認めたものである。
上告理由第三点
原判決は、上記のような(誤認による)朝礼発言の内容に加えて、「同部長が以前から総評系の組合特に化学同盟を嫌悪していたこと」を認定し、この事実をも不当労働行為意思の判断の根拠としている。然しながら右は同部長の見解を不合理に歪曲したもので、この点も明白な誤である。即ち同部長は組合公然化前には従業員全員加入の組織(いわゆる社員会)が、事実上賃上げ交渉に当って来たが、労働組合でないため正規の労使交渉の形態がとれないことを、人道主義的見地から労働者の為にも好ましくないものと考え、且、会社の事実上の最主要取引先である武田薬品株式会社を含む、製薬界大手各社が、総評系でなく同盟系の上部団体に加入している点からして、それらとの関係の円滑を考え、上部団体を選ぶなら同盟系組合が好ましいという見解を折に触れて発言していたのは事実であるが、それ以上更に進んで、総評系組合は好まないとか特に化学同盟は好まないといった発言が、公然化前になされたとは、本件証拠全体を通じても、見られないところであって、原判決の認定は完全に論理の飛躍による誤認である。
(ビラ配布関係)
上告理由第四点
原判決は会社構内における組合の無許可のビラ配布行為を、組合の正当な組合活動と判断したのは、結局原判決が労働組合法第七条もしくは、憲法第二八条の解釈を誤ったこととなり、これは判決に影響を及ぼすこと明らかな違法であるので破棄を免れないところである。
(1) 本件では、会社の企業施設内で、組合が会社に無許可で、自由に、組合活動として、ビラ配布をすることが出来るか否かということが基本的な問題である。組合活動としてのビラ配布が、企業施設内で行われるときには、当然企業施設の利用を伴うものであるから、組合又はその組合員は、企業施設を管理する使用者たる会社の許諾なくしては、組合活動のために利用することは許されないものである。このことは、既に最高裁昭和五四年一〇月三〇日第三小法廷判決(最高裁判所民事判例集第三三巻第六号六四七頁)で明らかにされているところである。
(2) 原判決が、組合の本件無許可ビラ配布行為を正当な組合活動と判断した根拠は、原判決の判文自体からは明らかではないが、前述したように本来違法なこうした組合活動を、ビラ配布の必要性とか業務に直接支障を及ぼさないとかいった観点から、正当な組合活動に転化させたと推論されるのであって、かかることは労働組合法第七条もしくは憲法第二八条の解釈を誤ったものであり、破棄を免れない。
上告理由第五点
原判決は、会社が、組合の無許可ビラ配布行為に対して、就業規則に基き警告等を行うことができることを認めながらも、本件に関し、権利濫用にあたる特段の事情が存したと判断したのは、極めて合理性に乏しく原判決は理由不備、審理不尽の違法をおかし、破棄を免れないところである。
(1) 第四点であげた最高裁判決でも、使用者の所有し管理する物的施設の利用を許さないことが、当該物的施設につき使用者が有する権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を例外として除いているが、ここにいう特段の事情とは、例えば一方の労働組合にビラの配布を許しながら他方の労働組合には、何ら合理的理由なしに許諾しないというような、極めて限局された場合にしかありえないのであって(最高裁判所判例解説、民事篇、昭和五四年度、三五九頁)、本件について原判決が認定し判断したようなことは、権利濫用にあたる前記特段の事情には、到底該当しえないのである。この点を明かにするため、以下に原判決が判断した特段の事情の一つ一つについて述べる。
<1> 原判決が、右の特段の事情として判断している一つに、ビラの内容が、一時金交渉の経過を報告する等のもので、職場秩序を乱すものでないということがある。しかし、組合が公然化された昭和四九年四月四日以降、組合が会社構内においてビラ配布を行わなくなった同年七月中旬までに、組合が配布したビラは、無数にあるのであって、単に原判決が判断するような「一時金交渉の経過を報告する」内容のものだけではなく(たまたま五月二七日に配布されたビラが夏期一時金交渉の状況等を記載したものであったにすぎない)、会社を誹謗、中傷するものも数多く存したのである。もっとも、会社は、組合に対し、個々のビラの内容そのものについて、問題にしているわけではなく、就業規則上の会社内でビラを配布するには会社の許可を受けることに違反している事実を問題にしているのである。原判決も、一般論として、「ビラの内容を事前に検討し、ことさら原告を誹謗・中傷するなどの不当な内容の印刷物が従業員に配布されることを未然に防ぐ」ことは、正当な措置であると判示しているのであって、結果論として、配布された特定のビラの中に、仮に会社を誹謗・中傷し職場秩序を乱す内容がなかったとしても、ビラ配布手続に違反している行為に対し、警告を発することは、当然のことであって、それが敢えて、権利濫用にあたる特段の事情とまでは到底いいえないのである。
<2> つぎに原判決は、特段の事情として、ビラ配布の時間が就業時間外の早朝であったこと、その場所が構内ではあるが、タイムレコーダー設置場所付近やポーターハウス前等で業務に直接支障を生ずる場所でなかったこと、ビラ配布で喧噪や混乱状態を生じなかったことをあげている。要するに、組合の本件ビラ配布によって、会社に具体的障害が発生していないとの判断のようである。しかしながら原判決のこの判断は、全くの誤りである。本件は、組合がビラを配布したことによって、その関係者を処分した事案でなく、組合が就業規則に違反して、会社構内で無許可のビラ配布を行っている最中に、単に警告を発したというにすぎないのであって、そうした事案までは会社に具体的障害が発生している必要は少しもないのである(むしろ具体的障害の発生を未然に防ぐためにこうした警告を発しているのである)。しかも早朝とはいっても始業時間に近接した出勤時間帯であり、従業員の始業時間を控えての就労準備に影響を与え、また仮にそうでなくても、受取ったビラが、会社構内の建物または敷地内に放置され、その効用を害し、施設の物的管理の妨害と充分なりうるものである(昭和五二年七月一四日東京高裁判決、高等裁判所民事判例集第三〇巻第三号一九二頁、日本N・C・R事件参照)。従って会社が、これらの点を危惧して、無許可のビラ配布を禁止し、これに違反している組合に対し、警告を発したのは、当然の措置であって、何ら権利濫用をきたす特段の事情として斟酌されるべき筋合いのものではない。業務に直接障害が発生したり、喧燥や混乱状態が発生したりしていたとしたならば、会社としては、秩序維持回復のために、単に警告を発することに止めておくことは出来なかった筈である。組合運動の常として、こうした問題はエスカレートしやすいのであって、会社の警告が効果があったか否かはともかくとして、本件ではこの程度の状況でおさまったというのは、不幸中の幸とさえいわねばならない。それ故、これまた結果論として、会社に重大な具体的障害がなかったとしても、会社の警告を、権利濫用にあたる特段の事情にあげることは全く出来ないのである。
<3> また原判決があげる構外でのビラ配布が実効性に乏しいとの判断は、その判断の基礎となる事実認定に重大な誤りがある。即ち、自家用車や通勤バスを利用して出社して来る従業員の会社構内に入った後の流れが、正しく認定されていない。
自家用車で通勤してくる従業員は、直接本部及び工場内の駐車場に車を乗り入れた後、多くの者は、正門の電動式スライド門(鉄柵)を通って、一旦正門の外に出て、守衛室(ポーターハウスと同意語)の前を通って、二八号館の前に設置されているタイムレコーダーに、時刻を打刻して、各職場に向うのである(甲第五号証の二の矢印の方向)。また通勤バス利用者は、通勤バスが、正門から少し構内に入った位置に停車するので、そこでバスを降りた従業員の全ては、右の正門を通って、一旦正門の外に出て、守衛室の前を通って、そこから右に述べた自家用車の者と同一の経路で各職場に向うのである。
このように従業員が一旦正門外へ廻るのは、タイムレコーダーの設置場所及びそこに至る通路の構造上、必然の関係となるものであるが、原判決はこの点を全く看過乃至誤認している。
それ故、原判決の「したがって参加人の組合員が構外でビラを配布するとすれば、配布を受ける側の者に正門付近まで出てもらった上で手渡すほかできない状態であった」との事実認定は、あたかも従業員が専ら組合ビラを受けとるだけの目的で、わざわざ正門を一旦出なければならない状態にあったようにいうのであるが、事実は、右に述べたように、自家用車利用者の多くの者や通勤バス利用者の全ての者は、通勤のコース(流れ)として、わざわざでなく、極めてスムースに一旦正門の外に出るのであるから、その正門を出たところで、組合がビラを配布し、また従業員がそこでビラを受けとることが出来るのであって、原判決の認定するような特別の状態でのみビラの受渡しが可能であったような状況では全くなかったのである。従って、組合が、会社構内でビラ配布をしたとしても、実効性に乏しいとは到底言いえず、ましてや権利濫用にあたる特段の事情の一つにあげることなど、全く出来ない事柄である。
<4> 原判決は、昭和四九年五月三一日付協定書第二項「組合並びに組合員の組合活動は、就業時間外しかも会社施設を使用しないで行う場合は全く自由である」(乙第一〇六号証)に関し、「右条項は就業時間外に原告の施設を使用する場合の組合活動についてまで直接協定したものとは認められない」と判断し、特段の事情の一つにあげているが、これも誤りである。原判決の右のような判断は、もって廻った特異な判断と言えるのであって、右の文言を第四項とともに素直に理解するならば、就業時間中あるいは会社施設内での組合活動は、原則として禁止され許可を要する(組合の自由ではない)ということが、当然の前提とされているのであり、ましてや就業時間外に会社施設を使用する場合の組合活動については、協定されていないとみることは到底出来ない。仮りにこの場合に関し、協定されていなかったとみるとしても、組合員が事業場内で組合活動をすることは、使用者の承認がない限り、当然には許されず、それは就業時間の内外を問わないというこれまでの判例の流れ(前掲NCR事件や昭和五二年一二月一三日最高裁第三小法廷判決、最高裁判所民事判例集第三一巻第七号九七四頁、目黒電報局事件等)に戻るだけのことであって、権利濫用にあたる特段の事情としてあげることは、いずれにせよ到底出来ないことである。
<5> さらに、原判決は、ビラ配布が組合にとって極めて重要な情報宣伝活動であるということをあげているが、たとえそうだとしても、それだからといって組合がルールを無視して勝手な行動をしてもよいということにはならないのであって、これを特段の事情の一つにあげることも誤りである。
(2) 会社が、本件に関し、組合や組合員に警告を行ったのは合計三回である。第一回目は、昭和四九年四月一七日で(乙第一六四号証)、その内容は、就業規則の該当条項が守られていないことの注意と、著しい違反の場合は処分の可能性があるという趣旨で、内容は極めてゆるやかなものであり、組合公然化の四月四日以降配布された多数のビラについて、就業規則違反の事実があることの注意を換起したにすぎず、何ら不当のものではない。配布されたビラが会社構内に散乱したり、就業時間中に読まれたりすることは、好ましくなく、またその内容をチェックすることも出来ないので、会社の許可を受けてほしい旨の要望をすることは、会社にとって極めて当然のことである。
第二回目は、昭和四九年五月二七日で(乙第一六五号証)、その内容は、通告書からも明らかなように、当時の藤木執行委員長が規律違反行為であることを承知の上で行動していることに対し、正常な労使関係を破壊する遺憾な行為として警告しているのであって、会社としてこれまた当然のことである。
第三回目は、昭和四九年七月一五日で(乙第六九号証)、これは組合に対してではなく、ビラ配布を行った個々の組合員に対し、行われたもので、第一回目のときと同じく会社として当然の措置である。
以上会社としては、組合の無許可ビラ配布行為に対し、いずれも注意をうながしたものであって、これらの行為に対し処分を行ったなどというものではない。就業規則違反の行為が堂々と行われている事態に対し、会社が警告を行うのは、極く当然のことである。なお会社は、本件の組合にのみ警告を発しているわけではなく、他労組であるチバガイギー労働組合に対しても、同様のことがあった場合は、警告を発しているのであって、組合間の差別も存していないのである(乙第一六七号証の一、二)。従って、本件に関し、会社が警告を発したことは、前述した特段の事情の不存在とともに、何ら権利濫用と目されるべきものではない。それ故支配介入たる不当労働行為にも該当しない。原判決は、この点に関する法律判断を誤ったものであり、破棄を免れない。
以上